コラム COLUMN

のんびりローカル線の旅へ——JR水郡線で巡る、癒しと発見の福島

みなさんは「JR水郡線(すいぐんせん)」をご存じですか?
聞いたことはあるけれど、実際に乗ったことはないという方も多いかもしれません。水郡線は、茨城県の水戸駅と福島県の郡山駅を結ぶローカル鉄道。阿武隈川や久慈川といった清流沿いをのんびり走り、里山の風景やのどかな田園地帯を楽しめる、まさに“癒しの路線”なんです。

今回は、そんなJR水郡線にゆられながら巡る、沿線のおすすめ観光スポットをご紹介。週末の小さな旅にもぴったりな、素朴であたたかなローカル旅に出かけてみませんか?

郡山駅(こおりやま):旅のスタートは福島の玄関口から

旅の出発点となる郡山駅は、新幹線や在来線が乗り入れる福島県中部の交通の要所。駅ビルにはお土産屋や飲食店がずらりと並び、福島グルメを味わったり、地酒をお土産に選んだりするのにもぴったりです。

郡山市内の立ち寄りスポットとしておすすめなのが「郡山布引風の高原」。標高1000メートルの高原に風車が立ち並び、夏には一面のひまわり畑が広がる絶景スポットです(※アクセスはレンタカー推奨)。旅の始まりにぴったりな、風を感じる爽やかな景色を楽しめますよ。

泉郷駅(いずみごう):幻の果実「さるなし」に出会う、玉川村の味覚旅

郡山駅から水郡線に揺られて約45分。到着したのは、のどかな山あいの村・玉川村にある「泉郷駅」です。ここは、まさに“知る人ぞ知る”里山の玄関口。

玉川村といえば、名物は何といっても「さるなし」!
聞き慣れない名前かもしれませんが、実はこれ、キウイフルーツの原種にあたる果実なんです。見た目は小さな緑の実で、皮ごとパクリと食べられ、甘みと酸味のバランスが絶妙。ビタミンCも豊富で、まさに“自然のサプリ”。

村内では、さるなしを使った加工品も人気。さるなしジャムやゼリー、サイダーに加え、なんとワインまであるんです!村内の道の駅には、農産物直売所があり、ここでさるなしグッズを手に入れることができます。地元の人たちが手間ひまかけて育てた果実の魅力をぜひ味わってみてください。

矢祭山駅(やまつりやま):川と緑に癒される、絶景の無人駅

さらに南下すると現れるのが、まるで絵本の中の駅のような「矢祭山駅」。無人駅でありながら、ホームの目の前に広がる自然の美しさが圧巻です。
春は桜、秋は紅葉が山一面を彩り、鉄道ファンやカメラ好きに人気の撮影スポットとしても知られています。

すぐそばにある「矢祭山公園」では、季節ごとの散策が楽しめます。のんびりと歩きながら、久慈川のせせらぎに耳を傾ける時間は、日々の疲れをリセットしてくれるような贅沢なひととき。お弁当を持ってピクニック気分で訪れるのもおすすめですよ。

常陸大子駅(ひたちだいご):袋田の滝と温泉で旅のハイライトを

いよいよ茨城県に入り、観光の目玉とも言えるのが「常陸大子駅」。このエリアは、自然と温泉の宝庫として有名です。

中でも「袋田の滝」は絶対に外せません!“日本三名瀑”の一つにも数えられ、高さ120m・幅73mを誇る大迫力の滝が4段に流れ落ちる様子は、まさに圧巻。秋の紅葉シーズンには、色づいた木々と滝のコントラストが写真映え間違いなしです。

滝を見たあとは、大子温泉へ。のんびりと湯に浸かって、旅の疲れを癒しましょう。地元の特産「奥久慈しゃも」や「りんご」を使ったグルメもお楽しみに。

おわりに:水郡線だからこそ出会える、心に残る景色

JR水郡線の旅は、急ぎ足の旅行とはちょっと違います。どこまでも続く川の流れ、季節の色に染まる山々、ゆったりとした時の流れ。駅ごとに出会えるのは、観光名所だけでなく、そこに息づく人々の暮らしや温かさです。

都会の喧騒を離れて、少しだけペースをゆるめてみる。そんな旅を求めているなら、水郡線はきっとぴったりの選択肢。次の休みには、電車に揺られながら心の旅に出かけてみませんか?